大人になってからの好きは厄介だ

大人になるほど、

好きという感情が難しくなる。

子どもの頃は、

好きなものに理由なんてなかった。

夢中だからやる。

触りたいから触る。

ただ、それだけだった。

でも今は違う。

時間を使うなら、

意味が欲しくなる。

お金になるのか。

将来につながるのか。

役に立つのか。

気づけば、

好きなことにまで、

効率を求めるようになっていた。

だから、

ギターをもう一度触りたいと思ったとき、

最初に浮かんだのはワクワクじゃなかった。

勉強もしないといけない。

仕事もある。

英語も中途半端。

そんな中で、

またギター?

しかも、

別にプロになるわけでもない。

誰かに見せるわけでもない。

それでも、

気づいたら動画を見て、

ギターを探して、

昔の楽譜を引っ張り出していた。

理屈じゃなかった。

大人になると、

好きは厄介だ。

簡単に手放せない。

一度諦めたはずなのに、

何年経っても、

静かに戻ってくる。

しかも、一番疲れている時に限って。

でも最近、

少し思う。

役に立つかどうかだけで、

人生を埋め尽くしてしまったら、

人はどこで呼吸するんだろう、と。

ギターを弾いている時間は、

何かを生み出しているわけじゃない。

成長でも、

成果でも、

自己投資でもない。

でも、

確実に自分を取り戻している感覚がある。

大人になってからの好きは厄介だ。

でも、

その厄介さに救われる日もある。

最近は、

弾くことより、

そこに置いてある姿を眺めている時間のほうが長い。

それでも、

そういう好きがあってもいい気がしてる。 

Second Desk ―― 仕事のあとに、もう一つの机。


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