楽譜は、まだ残っている

夜、机に戻らない日もある。

代わりに、ギターを思い出す。

実は、しばらく触っていなかった。

勉強に集中するために、全部売った。

あのときは、それが正しいと思った。

でも、やっぱりもう一度手に取りたくなった。

理屈じゃない。

本当に、好きなんだと思う。

昔やっていた曲は、もう指が覚えていない。

フレーズも、運指も、たぶん最初からやり直しだ。

それでも、楽譜だけは全部残してある。

昔、先生に言われた。

「楽譜は財産だよ」

当時はピンときていなかったけど、

今なら少し分かる気がする。

弾いた曲も、

結局弾けなかった曲も、

まだ一度も開いていない曲もある。

それでも、あの束は捨てられなかった。

そして今日、新しいギターを迎えた。

手にした瞬間、その圧倒的な存在感と、吸い付くようなネックの感触。

「めちゃくちゃいい!」

子供みたいな声が、自然とこぼれた。

まじめすぎる考えから、僕の音楽を開放した瞬間だった。

その感動に触れたとき、

ふと、あの先生の言葉を思い出した。

もしかしたら、

あのとき捨てられなかったのは、

楽譜そのものじゃなかったのかもしれない。

あの感動を、

もう一度味わえる自分を、

どこかで信じていたのかもしれない。

Second Desk は、

未来のための机でもあるけれど、

時々、

自分の原点に戻る机でもある。

音を鳴らす理由なんて、

説明できなくていい。

ただ、もう一度弦を押さえてみたい。

それだけで、十分だと思っている。

もう一度、音を鳴らしてみよう。

Second Desk ―― 仕事のあとに、もう一つの机。


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